サワスという言葉を、今日初めて知りました。
「柿をサワす」のです。
きっと、米沢の方がこの記事を読んだら、何を今さら?と
仰ると思いますが「さわす」は、首都圏では馴染みのない
言葉なのです。
そもそも、なぜこんな話になったのかというと...
今日、自宅に家内の友人が訪ねて来ました。
茶飲み話で木の実の話題になったとか。
枇杷の種を育てて庭に植えた知人の話や、
ポポーの種を育てて庭に植えてたわわに実がなった知人の話、
そして我が家では娘がアボカドの種を育てて植木鉢で育てていますが、
これらの植物は、通常、米沢市では育たないとされています。
なので、わざわざ話題になるほど珍しいワケです。
要するに、寒すぎるのです。
そして柿の話になった時に家内の友人が「関東には、木からもいで直接食べられる柿があるんだってね」と聞いたそうです。木からもいで直接食べられない柿があるのかと驚いた家内は彼女に逆に聞き返したのだとか。すると、彼女はこう言いました。「よく昔話で、猿蟹合戦とか木から採った柿を頬ばるシーンがあるでしょう?あれは小さい頃は、架空のお話だからだと思っていたの。木から採った柿はシブいのでサワしてから食べる果物だから」と。
サワす、というのは、ここの言葉で、柿のシブを抜く工程を指す言葉です。
木になる柿は、ほとんど全部シブくてシブくて食べられないので、サワす、又は干し柿にしてから頂きます。米沢市から車で30ー40分走ったところにある上山市は、大変上等な干し柿の産地としても有名です。
ナルホドそういえば、この季節になると、そこら中のスーパーマーケットや八百屋、ホームセンターでも、ビンに入った透明の液体が売られていて、ラベルには「しぶぬき」と書いてあります。一般家庭でも、ポピュラーな作業らしいです。主成分がアルコールだというシブ抜きを使わない場合は、焼酎に漬けます。
ちょうど、神奈川県の実家から送られた柿が届いたばかりだったので、彼女にお土産にあげると、「木から採って食べられる柿は珍しいからN(お嬢さん)にもあげよう^_^」と喜んで帰って行ったそうです。
その晩、家内と友人と両者にとって珍しい柿の真相が解りました。
それぞれの柿は、なにも全く別の種類なわけでもなく、原因は気候にあったようです。柿のシブの正体であるタンニンは、お日様にポカポカ照らされて抜けていくものなのに、ここ米沢市では、柿の実る晩秋は、もう寒すぎてシブが抜けず、タンニンが増えてしまうのだそうです。
その結果、どんなに美しく色づき、美味しそうに見えても、実際には、顔がゆがみそうなあの渋柿となり、サワす必要が出てくるのだと、親しいご年配マダムが教えてくれました。マダムは「あなたたちは、東北のリンゴ並木を見て歓声をあげるけど、私たちは、浜松などへ旅行して民家沿いに実るミカンの木を見ると歓声をあげるのよ。」と笑って話してくれました。